内容証明を送らない方がよい場合

初めの一手として様々な場面で有効な内容証明ですが、送らない方がよい場面もあります。
それはどのような場合でしょうか?

①これからも良好な関係を保ちたいとき

一般的に内容証明は、受け取った相手に対し、トラブルの開始や訴訟の前段階を意識させます。
ですから、平素からビジネスやプライベートでお付き合いがある相手に、いきなり内容証明はやりすぎだといえます。
法律家からの内容証明を受け取った相手は、もう二度とあなたを親しい間柄とは思ってはくれないでしょう。

加えて、感情的な相手に対して送った場合、他の取引先に対して「非常識なヤツだ」などと不利益なウワサを流されるなど、二次的なトラブルが起きるかも知れません。
通常なら、そんなことをして何になるのかと思うような行動を、感情的になった相手は割と平気で行います。

まずは通常の連絡手段で交渉を試みることが先決です。
つまり、逆に相手と距離を置きたい場合は有効な手段と言えそうです。

②相手の誠意が感じられるとき

相手が「誠意をもって対応する」と言っている場合であれば様子を見てもよいでしょう。例えば、期限までに全額は払えないが、半分なら支払うから待ってほしい。と言われた場合などです。
誠意を持った相手との関係を悪化させて得られるものは何もありません。
ですが、実行可能にもかかわらず、口だけで行動が伴わないのであれば、相手にはどこか「少しくらい許されるだろう」という、甘えがあると思えます。このような場合には、強い意思を示すために内容証明は有効と考えます。

③こちらにも落ち度があるとき

法律上の義務がないことを請求したり、こちらも何らかの義務を負っている場合は内容証明は逆効果でしょう。
明け渡していない部屋の敷金を返せと請求する、ケンカで双方が怪我を負っているのに、一方的に治療費を請求する、などが挙げられます。

しかし、よく誤解されるのが「私も悪いから・・・」と思い込んでいる場合もあります。
ここにいう「落ち度」とは法律上の落ち度のことです。
例えば職場での「お前はミスをしたから、今日の残業代はナシだ!」などという話は「法律上の落ち度」ではありません。
よく分からないという方は、無料相談をご利用ください。

④訴訟に持ち込みたくないとき

「弁護士」という権威は市民にとって強大です。法律上の落ち度のある相手に対し、弁護士名義の内容証明を送付すると、それだけで要求に従ってくれることもあります。

しかし、交渉が必要な相手に対して同じ行動をとると、おそらく相手も何らかの方法で弁護士に相談するでしょう。そうなると弁護士VS弁護士の状態となり、あっという間に訴訟に発展・・・というケースも珍しくありません。弁護士にとっての「訴訟」とは事件解決のための「単なる手続き」の一つに過ぎませんが、一般市民にとって訴訟は「一大事」です。かなりの時間と労力、費用がかかります。

現在のトラブルを訴訟に持ち込む意思がないのであれば、弁護士名義で内容証明を送るのは控えた方がよいでしょう。